医師の働き方

【医師解説】医師の時給相場は?常勤・非常勤に分けて現役医師が詳しく考察

医師の収入に関して、私はかつて医学部学生時代や研修医時代などに必死で調べていた記憶がある。自分の収入が将来どうなっていくかに非常に興味があったからだ。

実際に医師となって常勤・非常勤ともに色々な働き方をしてきた私が医師の給与体系に関して詳細に説明する。

1.医師の給与は非常勤の方が良い

今も昔も常に医師の給与は常勤よりも非常勤の方が高い。単純な日当に限らず、当直や待機など各種手当にも大きな違いがある。

理不尽な話だと思うが事実なのだ。

もちろん常勤医となれば厚生年金や健康保険など法定福利費も給与に含まれることとなるが、それを加味しても常勤医の給与は非常勤と比較して安すぎる傾向にある。

この理由に関しては昔の医師の給与体系を引きずっている部分があるのではないかと考えている。今から何十年も前の医師は、常勤先からの収入はほぼ無給で、アルバイトの収入で生計を立てるのが日常であったという。アルバイトを高額にしないと生活が成り立たなかったのだ。現在は常勤先から給与は支払われるようになっているが、それでも非常勤の時給と比較すると少ないと言わざるを得ない。現在は常勤医師であっても、週に1~2回ほど非常勤先にアルバイトに通っているケースは非常に多い。ほとんどの常勤医は非常勤先の給与がプラスされて生活が成り立っているのである。

医師

医師の収入は常勤先+非常勤先で成り立っている

よくネットに乗っている医師の収入にブレがあったりして、よくわからないことが多いのはこんな理由がある。

私個人的にはこの常勤と非常勤の給与格差はこの先すこしずつ是正されていくのではないかと考えている。情報が一般化されつつある現代では、給与に納得しない常勤医が増えていくことだろう。そうなれば非常勤として働く者が増えていく。理不尽な給与体系は長続きしない。ただ医療業界の変化はとても遅いので、この先10年単位でのゆっくりとした変化になるとは思う。

2.常勤医師の時給

ここでは後期研修医以降の医師の常勤の給与を基準に時給を考えていく。厚生労働省のホームページによると病院勤務医の年収平均は1,500万円とのことであった。

病院勤務医 年収1,479万円 (月収123万円)

開業医 年収 2,530万円 (月収211万円)

全国の病院勤務医11万8157人、開業医7万1192人の平均年齢は、病院勤務医が43.4歳、開業医が59.4歳

「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について / 厚生労働省より

しかし、ここで注意するべき点は病院勤務医の給与というものが、常勤先からの給与だけにとどまらない可能性がある点と、さらに大学病院と民間病院の区別もないという部分である。

都内医局員

都内の大学病院の平医局員と、民間の市中病院の勤務医とでは大きく給与は違う。

大きな病院であればあるほど、都心に近づけば近づくほど医師の給与は安くなっていく。「この病院で働きたい!」と思う医師が多ければ多いほど給与は下がり、逆に人気のない病院ほど給与は高くなる。需要と供給で給与が決まっていくことは何も医師の世界に限った話ではない。

特に都心の大学病院の給与はとても安い。私はこれまで3つの大学病院で勤務していたことがあるが、その時の大学病院からの給与はこんなところであった。

都心部A病院:33万/月 (23万 +インセンティブ 10万)

都心部B病院:26万/月 (20万+当直手当6万)

関東圏C病院:55万/月 (32万+各種手当23万)

大学病院からは年収にして300万円~600万円ほどになる。これらに週に1~2回の外勤先、つまり非常勤の収入がプラスされることとなる。常勤先だけの給与に限るとかなり安いということがわかると思う。

さらに常勤先では労働時間がとても長い。

朝早くから出勤し、オペで夜遅くまでかかったり、さらに当直もあったりする。私が一番ひどい労働環境であったときは週6勤務、1日平均13時間+当直4回/月だった。月360時間ほど働いていることとなる。

月に30万円だとすると時給830円ほどになる。

都内の大学病院の平医局員だと大学からはこの程度の時給しかもらえない。もちろん常勤医としての働き方は都内の大学病院だけではないので、部長クラスに昇進したり、また地方の民間病院であったりするともっと給与は良くなる。

3.非常勤医師の時給

常勤医の場合とは打って変わって、非常勤になるとだいぶ景色が変わる。

【保存版】フリーランス医師の年収は?元フリーランス医師が解説

フリーランス医師は主に非常勤先だけで完結するスタイルでの働き方であるが、この記事で詳しく書いているがざっくりと非常勤での医師の時給は10,000円~15,000円/時 ほどになる。

大学病院勤務医

大学病院の10倍近い時給だね

大学病院の医師の勤務体系が成り立つのはこのような非常勤先をいくつか持っているためである。

かつてはこういった非常勤先は医局に属していないと紹介してもらえなかった。そのため無給医として安い給与で大学病院に努めなければならなかった。しかし医師紹介会社の登場により、給与の高い非常勤先は一般化されることとなった。

もし登録していなければ主要な紹介会社に登録しておくとよい。

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登録してみればわかっていただけると思うが、ざっくりと経験不当でもできる案件で時給10,000円程度、専門性が高くなると時給15,000円以上に時給があがるようなイメージである。

あとは私自身が目の当たりにした例として、常勤の当直代が15,000円/日であるのに対して、非常勤が55,000円/日というのがあった。待機手当が常勤は6,000円/日に対して、非常勤は20,000円/日というのもあった。全く同じ案件でこれだけ差があるのは常勤医の立場からはイマイチ納得がいかない。

4.今一度働き方を考えるべし

これらの給与体系を加味して、今一度、

医師としての働き方を見直すべき

であると私は思う。

もちろん医師として働いているのはお金のためだけではないはずだ。

  • 自分の興味持てることか?
  • やりがいはあるのか?
  • 今は修行の時期だから・・・?

など様々だろう。

しかし今の常勤と非常勤の給与格差は明らかに理不尽である。私は常勤は常勤としての魅力も知っているので、この事実はあまりに悲しい。今後是正されていくことを祈っている。

これを読んている方が、今の勤務先に不満があるならば今一度、転職サイトで相談されてはいかがだろうか。時間は多少とられるかもしれないが、一切お金はかからない。今よりも好条件での求人が沢山あることが把握できるだけでも世界は変わると思う。