医局を辞めた後の生活が気になる方も多いだろう。この記事では半ば強引に医局を辞めてしまった実体験談を書こうと思う。
これは私自身の体験談である。実際にこの実体験通りに強引に辞めるのはオススメしない。読者の方には辞める場合は円満に辞めていただきたい。そのための参考になればと思う。
退職届を提出し強引にやめる
10年近くも前の話になるが、今考えても良くない辞め方をした。基本的にすべてのドクターは円満に辞めることを目指すべきであるし、私自身もはじめはそれを目指していた。
実際に辞める半年ほど前から医局長に退局の相談はしていたのだが、その医局長は全く話を上に上げてくれなかったのだった。半年経っても全く話が進んでいないことに対して私はイライラしていた。それに加えてブラック過ぎる労働環境で、正常な判断ができなくなっていた。
色々と調べてみると民法上は辞表提出後14日経過すれば退職可能とのこと。
私の当時の業務は麻酔科業務で、ope室で当てられた症例の全身麻酔をかける業務であったため、特に長く受け持ちの患者がいるわけではなかった。
私が辞めても特に患者に迷惑がかかることはない。
私一人が抜けても組織の歯車が一つ欠けるに過ぎない
辞表を出す前に以下の事をやった
- 麻酔科標榜医取得のため自分の症例の証明となる資料をすべて取得
- 辞めた後の最低限の働き口があることを確認
そして、あとは型のごとく「退職届」を作成した。なお「退職願」と「退職届」は別のものである。強引に辞めるならば提出するべきは「退職届」である。
WEBで検索しててできたテンプレート通りに退職届を作成し、ある朝、唐突に医局長に提出した。
意外とそんなに驚いたリアクションはされず、
「わかった・・・。」
と受け取ってもらえた。
本来ならばその後14日間は働かなかければならないのだが、その後の14日間は「体調不良」として欠勤した。
生活を成り立たせるためのキャッシュフローを確保
辞めて大丈夫か?それは辞めてみるまではわからない。しかし実際のところはなんとかなることがほとんどだ。今の日本ではそれぐらい医師免許は強い。無茶苦茶強い。
最低限度の働き口があることは確認していたが、実際に動き出したのは辞めた後である。
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これらの医師転職サイトを片っ端から調べ、スポットで働けるところは働くようにした。実際に探してみると、働き口はいくらでも見つかった。
とりあえずは週3で働き、残りの自由な時間でやりたいことを見つけようと考えていた。
これらに加えて、知り合いの先生やこれまで働いたことのある病院に連絡を取り、働き口がないか相談した。これらのパイプは本当に重要で、こういったコネクション経由で見つかった仕事は良い働き口であることが多い。
【保存版】フリーランス医師の年収は?元フリーランス医師が解説
一日8~10万円ほどは稼ぐことができたので、週3でも十分に生活が成り立つ。・・・というか、以前の週6.5勤務+時間外労働+当直月8回のブラック労働よりも稼ぎがいい
自由な時間が増える
それまでのブラック労働から一変して、週3のホワイト労働。沢山の時間ができ、やりたいことに時間が使えるようになった。休みたいときに休むことかできる。行きたいときに旅行に行ける。お金も十分ある。幸せだった。
時間もお金もあるって幸せだよね
海外旅行も沢山行けた。それまでは満足にまとまった休みがとれなかったので行きたいところにも行けなかった。医局を辞めてからは休みを調整に調整することができるので、行きたい気に行きたいところへ行くことができた。
女の子とデートに行く時間も増えた。
そんな中で好きな人もでき、後々の結婚に結びついた。今考えると、医局を辞めていなかったら、彼女と結婚できていなかったかもしれない。
上がり続ける収入
空いた時間に比例して、色々な人と会う時間も増えた。そんな繋がりから新しい仕事につながることもあった。専門医を持っていない私でも、かなり高給な仕事にありつけた。
知り合いの紹介で巡り合った麻酔科の先生の計らいにより9時~17時で日当12万円の職場をいくつも紹介してもらえた。また、ある職場で知り合った先生のつながりで日当14万円の職場を紹介してもらったこともある。
このように極端に美味しい案件というのは、なかなか転職サイトには転がっていない。転職サイトに高額案件があれば、すぐに充足してしまうことがほとんどであるし、そうでなければそれは極端に忙しい案件の可能性が高い。
求人サイトで紹介してもらった紹介先でもつながりを作っておくといいね!
転職サイトで紹介してもらった案件が最良の案件でなかったとしても、きっかけになることは多々ある。そんな機会を逃すことがないようにしたい。
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強引に医局を辞めてみた末路
概して医局を辞めて人生は幸せになった。しかし、心残りなのは強引に辞めたことである。当時はブラック労働下だったため心に余裕がなかったが、心に余裕ができた今思うことは、円満に辞められてたらどんなに良かったかということだ。
辞めた職場の人とはその後も仲良くしてくれる人は沢山いる。大事な人の繋がりはなくならない。しかし医局という組織との繋がりはなくなってしまった。
辞めたその後も私は医者は続けられている。何か嫌がらせされるような事もない。何か不都合があるわけではない。しかし、喧嘩別れというのはどうも後味が悪いものである。
それから何年も経った今でも、その職場の近くに行くことはどうも気が引けてしまうものである。
当時の医局長や教授には謝りに行きたい気持ちは常にあるが、今となってはもう過去の話だ。罪は罪と受け止めて、同じ過ちは繰り返さないようにしたい。
医局を辞める前に必ずやっておいたほうがよかったこと
以上が私の経験談である。結論、辞めて人生はよりよいものになったが、円満に辞められなかったことだけが心残りとなっている。円満に辞めることで多少、辞める期間が延びることになると思うがそこは絶対に我慢した方が良い。
医局を辞めようと思っているドクターには私から、必ずやっておいた方がいいことを以下にまとめる。
- 円満に辞めるための段取りをしっかりと考えておくこと
- 取れる資格はとっておく
- 繋がれる人とはとことん繋がっておく
- 健康保険は任意継続の手続きをすること。国保は高い!
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