医師は収入の大半がアルバイトによる収入であることは少なくない。年末年始に大量の源泉徴収票が届く医師も多いだろう。複数の医療機関から給与を得ている場合は確定申告をしなければならないが、ここでは医師の確定申告に関して考えていく。
確定申告しなくてもバレないのでは・・・?
そう考えている若い先生もいるだろう。私もかつてそのようなことを考えていたこともあった。この記事を読めば医師が確定申告するべきかどうか、判断に困るようなことはなくなるだろう。
確定申告とは?
後期研修1年目の先生などは確定申告をしたことがない、という先生もいるかもしれない。学生の時はそもそも収入がないし、初期研修医の時は研修先の一つの病院からしか給与を得ていないので、基本的には確定申告は不要であることが多い。
常勤先では、国に収めるべき税金があらかじめ天引きされた状態で給与が支給されている。最初に提示された年収や月収(額面)と、実際に貰える額(手取り)は違うのである。
しかし、医師3年目以降となると常勤先とは別の複数の医療機関から収入をもらうことが多い。こうなってくると、医師個人の年収が一つの医療機関で把握することができなくなるため、正しい税金を予め天引きしておくことが不可能になる。
例えば5つの医療機関から給与を得ていて、天引きされているお金が年間200万円ほど、しかし実際に収めるべき税金は250万円だった、この場合の差額の50万円を確定申告にて申告し、収める必要があるのだ。
確定申告は自己申告制!
確定申告を自分でやってみるとわかるのだが、この確定申告は完全自己申告制なのだ。
「これだけ給与をもらっていて、収めている税金がこれぐらい、なのでこれぐらい税金を納めます。」
これを自分で申告し、自分で税金を納めるのである。正直、ウソはつこうと思えばつける。源泉徴収票のうち一枚だけ申告せずに隠してしまうなんてこともできてしまうのだ。
固定資産税などは「●●円収めてください」という通知がくるのだが、確定申告では「●●円収めます」と自己申告するのである。
申告しなくても、バレないんでは・・・?
そう感じる先生もいることだろう。
バレた時のリスクが高すぎる!
お気づきかもしれないが、このように確定申告でウソをつくことは脱税行為にあたる。額が小されればバレないこともあるかもしれないが、額が大きくなってくると、それだけ税務署から指摘が入る可能性が高くなってくる。
私の知り合いのドクターで長年の未申告を指摘され、これまで未納だった税金に加えて多額の追加課税請求された先生がいる。
額は噂によると何千万単位だったという。
申告しなかった場合 | 無申告加算税(納付すべき金額の15%~20%) |
過少に申告した場合 | 過少申告加算税(納付すべき金額の15%) |
悪質(偽り又は不正等)の場合 | 重加算税(納付すべき金額の35%~40%) |
所得税にも時効があるので、時効まで逃げ切るというのもひとつの手かもしれない。しかし、バレたときのリスクを考えると稼いでる人ほど税金だけはしっかり払うべきと私は考えている。
額が小さければおそらく指摘する手間を考えても見過ごされる可能性も高いと思う。しかしそんな小さな額を後ろめたい気持ちで隠すぐらいならば堂々と払ってしまった方がよいのではないか。人間、悪いことをしているのは気分が悪いものである。
確定申告でお金が戻ってくるパターンも!
確定申告は何も悪いことばかりではない。税金は納めるばかりではなく、還付されるケースもある。
税金を納めすぎていた場合は確定申告によってお金を取り戻すことができる。
私自身もフリーランス医師として複数の医療機関から収入を得ていたときは還付されるケースが多かった。各々の医療機関での収入が高ければ高いほど戻ってくるケースが多いと思う。当時は源泉徴収票20枚近くあり、全て計算すると50万円ほどお金が戻ってきていたと思う。
これに関してはケースバイケースである。どれぐらい源泉徴収されているか、所得税が天引きされているかは各々のもらっている額面によって異なる。
確定申告はきちんとするべき
結論、確定申告はしっかりとやるべきである。還付金してお金がもらえるケースもあるし、払わなくてはいけない場合、バレない可能性はあるが、バレたときの罰金のリスクを考えると納税するべきだ。
稼いでる人ほど税金で足元をすくわれがちである。高収入の医師こそ、税金だけはしっかりとケアしよう。
個人で確定申告をするのがめんどくさい、よくわからないという場合には専門家である税理士に任せてしまうというのもオススメだ。
私も昔は自分で確定申告をやっていたが、今では税理士に任せている。
確定申告をやってもらえるのと同時に節税のアドバイスも受けられるのでメリットが大きい。